アンデロンメータは、ベアリングの振動特性を測定する装置です。
あらゆる分野で省エネルギー化が要請されるなか、モーターをはじめとする回転装置の振動・騒音の低減がますます重要になってきています。回転装置の振動レベルを決定する最大の要素は、組み込まれたベアリングの振動特性です。車載モーターの高効率化、エアコン・掃除機などの家電製品の静音化、冷却用ブロアーの長寿命化などを実現するためには、要求される振動特性に応じてベアリングを事前に選別することが非常に有効です。
ベアリング内輪を1800 r/minで回転させ、外輪の半径方向の振動を速度センサで検出し、「アンデロン値」として数値化します。
(注1: 「アンデロンメータ」は、ベアリングの回転中の振動を測定する装置として1944年に米国のチェイニーらの論文によって発表されました。そこで定義された「アンデロン測定」および「アンデロン値」は、ベアリングの振動特性を評価する上で最も標準化された概念です。)
ベアリングを使用した回転装置において発生する異音は、ベアリングのキズや異物混入によって生じます。それらの不良は、ベアリングを装置に組み込む前に選別することで防ぐことができます。ベアリングの事前選別によって装置の不良率を低減することには、大きな経済的効果があります。
ある回転装置に使用しているベアリングを数百個程度測定すれば、その装置への組み込みにおいて現に許容されているベアリングの振動レベルの目安が分かります。
さらに精度を求めるには
振動特性(アンデロン値+ピーク特性)によってベアリングをグレード分けします。それらを使って回転装置を組み立てて試験を行ない、回転装置の試験結果とベアリングのグレード分けの相関を調べます。これにより、回転装置に要求されるベアリングの振動特性を正確に決定することができます。
測定ベアリングの内径に合わせて作られたアーバ(心軸)をスピンドル軸に装着し、スピンドルを1800 r/minで回転させます。アーバにベアリング内輪を挿入し、内輪を1800 r/minで回転させます。
測定ベアリングの外径に合わせて作られたベアリング押さえをプッシャに装着し、プッシャで外輪にスラスト方向の力を加えて外輪の回転を止めます。
このようにして内輪が回転し、外輪が回転しない状態を作り、速度センサの触子を外輪に接触させ、外輪の半径方向の振動速度を検出します。
アンデロンメータは以下の4点と、アーバ・ベアリング押さえで構成されます。
アーバを介してベアリング内輪を回転させます。
ベアリング押さえを介して外輪にスラスト負荷を与え、外輪の回転を止めます。
外輪に接触させて半径方向の振動を検出します。
速度センサ]からの信号を周波数解析し、帯域ごとに数値化します。
ベアリング内径ごとにアーバが、外径ごとにベアリング押さえが必要です。
アンデロンメータ共通のアナライザです。7周波数帯域(可変)のアンデロン値とスペクトラムをリアルタイムに表示します。広いダイナミックレンジにより、精密ミニチュアベアリングの微小な振動から大径ベアリングまでカバーします。
ベアリングの振動測定に特化した接触式の速度センサです。加速度センサやレーザドップラ振動計と比較しても、高いS/N比性能を持ちます。触子圧はわずかに0.275 N(0.05 mm押込み時)、測定中のベアリングに不要な力を加えません。
10 kHzまで完全にフラットな周波数特性を実現、アンデロン測定の範囲内に共振点を持ちません。
振動の極めて少ない特殊構造の流体(オイル)動圧スピンドルを使用しています。駆動ベルトを用いないダイレクトドライブ方式はもちろん、徹底した振動対策を講じ、暗振動0.1アンデロン以下を実現しています。ベアリングサイズに応じて2機種のドライブユニットをご用意しています。
独自開発のプッシャ軸保持構造により、一切の「コツ」を要求しない再現性の高い測定を保証します。押し圧を設定し、ベアリングの厚みに合わせてプッシャのストッパを位置決めした後は、設定した押し圧以上の力で押す(ADP-20NX)か、レバーを操作(ADP-200NX)すれば、設定した押し圧が掛かります。
測定ベアリング範囲 | ドライブユニットADM-104: 内輪1 mm~外輪100 mm ドライブユニットADM-709: 内輪 10 mm~外輪 220 mm |
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測定可能ベアリング | 単列・複列深溝玉軸受 アンギュラ玉軸受 自動調心玉軸受 円錐ころ軸受 自動調心ころ軸受 円筒ころ軸受(ADM-709-U1のみ) |
測定周波数帯域 | 標準7帯域(U, R, L, M, H, E, A Band) L band:1.67 ~ 10.0 wave (50 ~ 300 Hz) M band:10.0 ~ 60.0 wave (300 ~ 1800 Hz) H band:60.0 ~ 360 wave (1800 ~ 10800 Hz) |
プッシャ押し圧 (スラスト方向) |
ドライブユニットADM-104用 ADP-20NX: 最大20 N ADP-200NX: 最大 200 N ドライブユニットADM-709用 ADP-200NS: 最大 200 N ADP-2KNS: 最大 2 kN |
プッシャ押し圧 (ラジアル方向) |
2点押し、1点最大100 N (ADM-709-U1のみ) |
スピンドル回転速度 | ドライブユニットADM-104: 1800 r/min ドライブユニットADM-709: 300-3600 r/min可変 |
スピンドル軸受 | 流体動圧軸受(オイル) |
スピンドル駆動方式 | ダイレクトドライブ |
測定アタッチメント | アーバ: 測定ベアリングの内径ごとに1個 ベアリング押さえ: 測定ベアリングの外径ごとに1個 |
電源電圧 | アンデロンアナライザADA-105: AC100-240V 50/60 Hz ドライブユニットADM-104: AC100V 50/60 Hz ドライブユニットADM-709: AC100V 50/60 Hz |
寸法(W x H x D) | ADA-105: 315 mm × 218 mm × 300 mm ADM-104: 300 mm × 386 mm × 486 mm ADM-709: 700 mm × 1336 mm × 1280 mm |
重量 | ADA-105: 10 kg ADM-104: 80 kg ADM-709: 450 kg |