日本経済新聞 2016年4月20日付記事 精密機械メーカーの菅原研究所(川崎市、菅原重信社長)は毎分12万回転のモーターの性能を試験できる世界最高速対応の測定機を開発、発売した。現行の測定機は4万回転程度が限界とされているが、モーターの軸と測定機の接続の精度と密着力を高め3倍に引き上げた。製品への高速モーターの搭載を進める自動車、家電業界などに売り込む。
測定機「EMM100M」はモーターの回転の力や速度、電圧、電流など22項目の性能をチェックする。高速モーターは回転軸と測定機の受け軸の接続部分がずれたりはずれたりすることが多かったが、同社はモーターへ余分な負荷がかからないように測定機の軸の回転を滑らかにしたうえで、回転が速くなるほど軸同士の接続が強固になる新技術を開発した。
毎分8万~10万回転の高速モーターは、小型で吸引力の強い家庭用掃除機などへの搭載が進んでいる。自動車業界でも低燃費で高出力を得る新しいターボチャージャー(過給器)用に同10万回転以上の高速モーターを搭載する研究開発が進んでいる。12万回転対応の測定機は高速モーターの搭載を一層進めることになりそうだ。
測定結果は画面に数値やグラフでリアルタイムで表示して、時間の経過で回転力が変化しないか、速度の変化で回転にむらが発生しないかなどをチェックできるようにした。パソコンで遠隔操作したり、プリンターに結果を打ち出したりすることも可能。価格は1054万円。国内だけでなく海外でも拡販する。
菅原研究所は1956年設立。高速で動く物体に閃光(せんこう)を当て静止したように見せるストロボスコープで市場シェアを拡大。光を発するキセノン放電管を自社製作するなど技術力を高め、ベアリングやモーターの性能測定機に事業を拡大している。2016年9月期の売上高見通しは約10億円。